内田樹の「日本辺境論」を読んで
「日本辺境論」内田樹著(新潮新書)はブログ「内田樹の研究室」の雰囲気で書いているのだが、大きな講堂での講演会ではなく、小さな階段教室で講義しているような感じがする。難しいカタカナ英語や漢字はやはり辞書で引かないと、理解できないが。日本人の辺境(中央から遠く離れた国ざかい)性についていろいろな事例を挙げて書いている。また昔からそれを取り上げている作家について分かりやすく説明が加えられているので、今まで分からなかったことを解き明かすように読むことができた。
難しいことでも、昔から自分が知識として希求していることについては意外にすっと解る。その日本人の辺境性について書いている先人の中には丸山眞男がいた。
私は丸山眞男を若い時に読んで、理解できない記憶だけを残していた。それが内田樹の説明を聞くと、今度は理解ができた。と言っても昔読んだが理解できなかったという記憶のみで、どんなことを書いていたか、どの書籍かも思い出せない。女子美短大で美術を遊びながら学び、少し偏差値の高い友だちと話ができるようになればと良いと蛍雪の功を積んで、丸山眞男を少しだけ読んだ程度だから、言うほどのことではない。でも理解しようとしたファイトが、今もって心の芯に小さな炎を絶やさせないでいられたのかもしれない。
いくつかの事象を丁寧に、角度を変えて説明してくれている。卑弥呼が親魏倭王の称号を与えられて、国の指導者としての存在を示したこと。戦後の調停制度のあいまいな処理の仕方。オバマ演説のようなことは日本ではできないこと。その場の空気の親密性を自分のアイデンティティよりも優先させることをルースベネデイクトが「菊と刀」でもう指摘している点などの説明。そこから日本の世界大戦への道が始まったこと。関ヶ原の戦いでの様子見にみるきょろきょろした日本人らしさ。水戸黄門の印籠など身近なところからの説明がある。。
私が≪日本人て、どうしてこうなのだろう?≫と思う場面、場面に当てはめると分かる気がする。そして、日本辺境論を読んでから、最近毎日起こるいろいろなことがすべてがその辺境論的な展開で見ると納得のいく説明に辿りつけ、面白い。3世紀半ばの卑弥呼から続いている呪縛された日本と、流動的な今について内田樹の理論展開が新しく感じる。旧政権から鳩山新政権になっての政治のやり方の違う点が、この本は証明している気もする。内田樹が11月24日のブログで書いている「なぜ日本軍は真珠湾攻撃をしたのか」は日本辺境論を読んでいたので理解しやすかった。
教育についての部分で感動した個所があった。ここで私が引用して書くことはまるで私が書いているようで、憚られると感じるのでページと行のみ書きます。98ページ14行から99ページ最終行までです。その個所は、私のような市井の≪あとりえ・チビッコ≫のしていることは、社会の中では風前のともし火ではあるが、いつかは分かってもらえる日が来るかもしれないので未来に希望を持って進もう。という意味にとりました。神にも理性にも分かってもらえなくても(アルベール・カミュー)も付け加えて。
そして、この本の最終目的の教訓を内田樹は「私はこうなったら、とことん辺境で行こうではないかというご提案をしたいのです」まで導びかれる。
今回、最初に読んで、次に棒線を引き、読んで分からない個所に印をつけ、辞書を引き、結構勉強した。本は鉛筆の線だらけだ。高校生の頃に戻った感じで勉強ができた。私はリンクに内田樹先生を含めていろいろな先生方をリンクしているのは、いつまでも学生生活を続けていたい表れなのかもしれない。インターネットはそのような研究室のドアを気軽にいつでもノックすることができる。
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コメント
新年明けましておめでとうございます。
うれしいメールをいただいて、新年早々感謝です。
難しい哲学も、いつかは分かると思い、
がんばって読んでいます。
私もTamayamさんの新年のブログを読みました。
温泉に行かれたのですね。
いつも写真が上手ですね。
写している様子を想像しています。
今年もよろしく!
投稿: keicoco | 2010/01/03 21:18
明けましておめでとうございます。
今年もどうぞよろしく。keicocoさんのリンク
に内田先生のお名前があったので、以前から
興味をもっておりました。そこへ『辺境論』の
出版です。さっそく読んでみました。とても
表現がわかりやすく胸がすく思いがしました。
いつかBlogに取り上げてみたいです。とくに
教育に関して・・・私もその分野に少し関係
していましたので、共感する点や新しい発見
が多かったです。彼が武術を通して日本の教育
を見ているところがいいなあと思いました。
このBlogですごい人物に出会えた感じです。
ありがとうございました。
投稿: tamayam2 | 2010/01/03 20:58