Paris & Provins(Ile de France)の旅・Ⅲ
≪美術館と砂糖と地下鉄≫
ルーブルでは、日本語の説明をイヤホーンで聴きながら歩いていた。耳元から聞こえる声の女性がこの春突然亡くなった久米佳子さんの声に似ていた。始めて聞いた時、声の甘い響きがとてもよく似ていたので、胸がドキッとした。15年前、ドイツ旅行中にフランスにいる彼女に電話して、びっくりさせたことがあった。こうして私がフランスに行ったことを、もう彼女とは話すことがが出来ない。彼女はまわりの友人にフランス語の発音は完璧よと言っていたと聞いた。
ルーブル美術館では作品よりは作品鑑賞をしている人の中に一人、とても美しい人がいた。黒人(ブラックパーソン)の女性で、朱に近い赤のドレスを着ていた。どうしようかと考えて、追いかけて写真を撮りたかったが、人混みがしだいに逆流してきて見失ってしまい撮れなかった。あまりの混雑に、モナリザを見に行くこともしたくなくなった。それよりは紅いドレスの女性こそが現代のモナリザではないかと思った。ドレスや体の線の美しさ、作品を見る目線、同行していた男性との何気ない仕草が大変美しかった。これが何故か、と思うのだが、黒いから美しいのだと気付いた。「Black is beautiful」は黒人民権運動の標語だが、私もそう思う。また違う意味合いがあるのだが。日本に戻りたまたま、病院で隣り合った黒人の赤ちゃんを連れている日本女性に聞くと、ご主人はセネガル出身でフランス人とのこと、セネガルはパリダカールラリーのダカールが首都だ。
日本に戻ってからウィキぺデイアで調べるとフランスはたくさんの植民地を持っていた。それに関しては生活上のことでうなずけることがあった。私たちは旅先でも多く野菜を採りたいと、スーパーに行き、パック入りの野菜を買い、塩とレモンを買った。その時塩のそばにフランスの砂糖が売っていた。日本で買うと結構な値段の無漂白のブロックの砂糖が大変安かったと記憶している。戻ってから植民地を調べると、納得できた。砂糖を生産するカリブ海のハイチなどが含まれている。我が家では時々、輸入食品店でオウムの絵の描いてある箱の砂糖を買うのだがそれも確かフランス産だ。それと時々食するジャムの中にはフランス産が多い。このようなことから納得できる。生活上の疑問を調べてみるとそれからそれへといろいろ広がり、社会科も面白くなる。
ルーブル美術館では≪ルーブル美術館の秘密≫をビデオで見ていたのも鑑賞を親しくさせ ることが出来た。特に彫刻の部屋を垣間見た時、まだまだあの作品の欠片の群を合致させるのに費やす時間を考えると、とてつもないことだと感じた。そのあと、ルーブル近くの喫茶店でコーヒーとケーキを食べた。大変おいしかった。もしかすると有名なお店かもしれなかった。そのあと、もう一つ出来事があった。
地下鉄を降りていくとそこには切符販売機がなかっ たので一瞬どうしようかと考えていると、男の人が近づいてきて、切符をあげるというが「ノー」と言って別の入り口まで歩いて行くと、後からその人が着いて来てまた、窓口で買おうとすると1,6×2=3.2なのを3€で良いと言う、ちょうど小銭を3€出しかけだったので渡して切符を貰うと、どこからか少年が出てきて大きな声で「マニ!マニー!」と言ってきた。体に触るように着いてきたので、大きな声で「ノ―!」と言ってその場を振り切った。あとで振り向くと男の人がいいからいいからと男の子を慰めているようだった。そこで、なんだ、結託していたのかと気付いた。そして、別に0.2を渡しても良かったんだと気付いた。その日のその時間はまだ学校がある時間だと思うから、学校に行かずにそうした仕事を少年がしていたのだと気付いた。私たちはパリの地下鉄を少しでも労を多くして乗ろうと考えていた。13日の間に切符の買い方はうまくなった。そこで起きることを楽しんだ。時には日本人が説明してくれたし、またドイツ人の家族が買うのに悪戦苦闘していたのも見た。10枚束で買うより、一回一回楽しんで切符を買った。その中にそういう出来事もあったのだ。
また多くの若者がその改札口を切符を通さずすり抜けたり乗り越えたりしてスリルを楽しんでいた。日本でも暴走族が高速の出口を強行突破するのを見たことがあったが、東横線の大倉山駅をジャンプしてすり抜ける若者は見たことがない。私たちがパリの中心部の見学をしていた時は観光バスから多くのパトカーや白バイ(フランスでは違う名称だろうが)とすれ違った、ホテルに戻って見たテレビには日本で見るBSのフランス2の司会者がプーチン首相と対談していたので彼の警護のためだったのかとも推量した。
結局ルーブルではあまりにたくさんの作品群で戦意喪失気味になった。かえってロダン美術館やギュスタブモロー美術館、カルティエ財団美術館の方が落ち着いて鑑賞出来た。 カルテイエ財団美術館では、ビート北野武の 展覧会が行われていて、子供たちに音を聞かせてそれをどう感じるかを絵にするという試みをしていた。私も子供の順番に並んで作品を描いた。
ギュスタブモロー美術館はフランスの古い洋館であり、そこにはいるだけで、歴史の匂いを感じることが出来た。そのあと坂道を北へ北へと歩いて行くとムーランルージュがあって、化粧の濃い人がいっぱいいた。もっときつい坂道を上がっていくと、サクレクール聖堂があって、だれもがパリに行った 証拠のように写真を撮る、階段のスポットがある。実は私もそこで写真を撮ってもらいたかった。ミーハーな願望だったが、このたび実現された。サクレクール聖堂は太陽が強くてくらくらした。坂を一気に下りてから地下鉄に乗る前に コーラを飲んだ。
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