映画「イル・ポスティーノ」を見て
イル・ポスティーノ
チリの政治家であり、詩人のパブロ・ネルーダは亡命してイタリア、ナポリ湾の島に移り住む。たくさんのファンレターが届き、島の若者マリオがその郵便物を配達をすることになる。ネルーダは妻を愛し時にはタンゴを2人して踊っている。その様子を垣間見ながらマリオは詩が書けたらいいなと思い始める。詩が書けたら女性に愛してもらえる。郵便を配達しながらマリオはどうすれば詩人になれるかネルーダに聞いた。
「入江に向かいゆっくり岸を歩きなさい。この島の辺りは海そのもので絶えず溢れ出る。いいと言い、いやと言い、いいと言い、またいやと言う。青い波と泡の動きの中でいやだと繰り返し静かにしていない。私は海と言いながら岩にすがる。でも岩を口説けない。」
海辺でネルーダはジョルジョに伝える。
「7匹の緑の虎、7匹の緑の犬、7匹の緑の海で、岩を撫でくちづけをしぬらす。我が胸を打ち、名を繰り返す」ジョルジュはネルーダに言う。「変だ。変な気分になった。言葉が打ち寄せて海のようになった。」
ネルーダ「それがリズムだ。」
ジョルジュ「船酔いになった。なぜか説明できない。でも感じた。まるで言葉の真っ只中で揺れる小舟だ。」
ジョルジュ「この世界の海や空や雨や雲や世界全体が何かの隠喩になっているのですか」
ジョルジュは酒場で働くベアトリーチェを見初め恋に気づく。
「君のほほえみは羽を広げた蝶だ。君の笑いはまるでバラだ。鋭い槍溢れ出る水。」
そして次から次に熱い詩を贈る。
ネルーダはジョルジュを詩人として認める。
ジョルジュの詩をベアトリーチェが受けてネルーダが介添人となり教会で結婚式をする。
その日にネルーダの亡命が解除されてチリに帰ることが決まる。
そして5年の月日が経ちネルーダが島に再びやってくると男の子がいる。ジョルジュはいない。
この物語の中心の言葉は「隠喩」でもある。亡命してきた詩人と郵便配達人との友情。
ジョルジュ役のマッシモ・トロイージはこの撮影終了12時間後に心臓病で41歳の若さで夭折したと言う。ネルーダ役はニューシネマパラダイスのヒィリップノワレ。
詩ができるまでの精神の高まりが隠喩で表現されるのが勉強になった。ジョルジュは彼女への愛を詩にしたがその愛の気持ちを永遠に持ち続けることは日常にあっては難しいと思う。私も若い頃は詩も書いたが、最近では日常が白い波も青い海も遠くに押しやり、詩情を感じにくくなった。歳をとったからかもしれない。別離が目前に現れたら詩が思い浮かぶかと思うがそれも無理だ。詩は愛が押し寄せる時でないと浮かばない気がする。
イルポステイーノ!いい映画でした。
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